Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Leggi 石狩川 (いしかりがわ) di 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 253.535 caratteri · 506 schermate
浜にくだける浪の音がざあッとひびいた、それが蜿蜒とした海岸のかなたまで、次々に、逆立ち、崩れ、消えて行くのが、なぜか漂渺と、目に見えるようであった。するとまた、逆まく浪が目の前に立ちあがり、だアーんと砕けた。――気づいたように誰かが呟いた。
「別に、どうも」
云うべきこともない――二人の論争は、自分の胸の右と左に過ぎないと思われて来た。ここで繰りかえすまでもなく、今日までには千度も自分の胸で追求したことであった。すべからく善処して貰えばそれで満足すべきであった。
「よろしく――」と、その男は顔をあげずに求められる意見を押しかえした。
「では、拙者、かわって」と安倍誠之助が充血した赤い顔をまッ直ぐに立てた。
「いかにも」
「冷静に、腕をつかねておられないときになっております、一刻を争わねばならないときになって――」
「なるほど、それで?」
「身どもらはどうなっても悔むことはない、年齢もわかい、どうにでもなる――けれど、女子供をひきつれ、おおぜいの家族をかかえたものはどうなりましょう? 時世は、うしなわれた家禄を復活させることはあり得まい、人は平等を宣言されたのに、しかし、われらのところでは、実のない君臣の名に縛られて、この曠野に、あてのない彷徨をつづけている、解放してやらねばなりませんよ、阿賀妻さん?」