Classici giapponesi con furigana
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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Leggi 石狩川 (いしかりがわ) di 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 253.535 caratteri · 506 schermate
彼は一ひざ乗り出すようにした。
「われら迂濶にも、両三日の糧食以外を携帯致しておりません、折あしくもこの悪路、明日倖い所期の地に着したとしても、一両日の滞在は覚悟いたさずばなるまい」
「なるほど」と戸田老人がうなった。
「食糧不足のため、一たんこの地より立ち戻るべきか、乃至は」
「むろん行き着くべきでござろうよ」と、また戸田老人が云った。
「大野どのはどう思いなさる?」
「されば」と彼は相変らず火を見ていた。
「玉目どのは?」
「同感ではございますが――」と、彼は瞳をあげた。きらりと焔がうつっていた。
あとは改めて云う必要もなかった。ここまで来た阿賀妻の心がどう定っているかも判っていた。糧食を補足して、その土地を検分しなければならぬのである。今か今かと帰りを待ちわびているものたちに、期待をもたした二日三日の遅延は大したことではない。素手で帰ることがしのびがたいのであった。その動揺落胆はむしろ恐ろしいのである。獲物は眼と鼻との間に見えている。当然、中途はんぱに引きあげられない立場である。問題は、ここ二三日の食糧を何とかして手に入れることだけである。
しかもまた、それにはたった一つの方法しか無かった。