Classici giapponesi con furigana
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いしかりがわ
石狩川
本庄 陸男
Leggi 石狩川 (いしかりがわ) di 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 253.535 caratteri · 506 schermate
「結びを腹に入れたゆえ、つまり、しん底から冷えてまいったというわけじゃ、そこで手前は腹がきまった、――飯を喰うとはありがたいことじゃ、こう、――下からぐんとささえてくれるわ、おぬし、それを感じたことあるか? はは、無い方がよい、よいともさ――」
甚助は相好をくずして、がたがたふるえながら顔一ぱいで笑うのである。どうしたものか、彼は、これが、のん気な旅のあるひとつの状景のような気がした。
「おっと、ここに火桶があった」
阿賀妻はだしぬけに一言そう云って、煙草盆の小さな埋火をきせるの先で掻きだした。その憐れな火玉を、最後の握り飯にかじりついている甚助におしてやった。銀のなた豆きせるが、古ぼけた畳の上に白っぽく投げだされた。彼は前こごみに膝に肱をついた。左の掌で俯向いた顔の口を蔽った。とも襟のえり付けから抜き取った楊枝で歯をせせりだした。
「湯のあついのを」甚助は竹の皮に割った握りの半分をおいた。指を舐め腰をうかした。
「まアよい、済んでからのこと――おかみは日が長いよ」
「でも――」と甚助は茶瓶を持って立ちあがって、そして叫んだ。
「あッ見えました、ね」
阿賀妻は同じ恰好で歯をせせりつづけた。