Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(四) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 229.324 caratteri · 458 schermate
「なに。鳳儀山の僧とか」
……つづいて。
「やれ、なつかしや」
声のせつなに、障子の内のひとは、みずからそこの障子をサッとあけた。
浄明はその不意なのにおどろいた。濡れ縁を跳び退くやいな、庭面の遠くで片手と片膝を地についた。そしてさて、胆をすえてから、夕のあいろを透してその人を見直した。
やはりうら若い女性なのだが、それは尋常一様な容姿ではない。この世のものではないといえよう。しいていうなら凄艶無比な一個の生きているものだった。
ホツレ毛を帯びた梨の花のような白い顔は泣いたところだけをほの紅く腫らしており、眸の光に、狂者を証しているのである。小袖はほころび、ちぎれた緋や紫がまた妖しい炎みたいに濡れ縁をあちこちしていた。しかもその歩き方は男であった。
「…………」
手にも彼女は男扇を持っている。いや彼女は亡き良人、菊池三郎頼隆になりすましているのらしい。きっと、浄明の方を見て、扇拍子をとりながら、謡うがごとく、こう語り初めていた。
「聞きねかし、旅僧……
われは菊池入道の子、三郎頼隆と申す者、童名菊一とて、有智山の稚子にて候ひし、人みな知つて候ふ……
さるに、菊池の庄にて、新妻を迎へ、わづか十六日と申すに、合戦の沙汰に会ひ、その朝、出陣の袴を着候ひしに、わが妻、わが袴の腰を当てつつ、あはれ、相構へて二度見奉つらばや