Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(四)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(四) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 229.324 caratteri · 458 schermate
……どうだ佐々木」
「…………」
「いやならよせ、拾ってやらぬ。いささか高氏を知る者と思い、他日天下の分け前も取らせてやろうと、急ぐ道をも、わざわざこれへ立寄ったのだが、はなしに乗らぬものはぜひもない。惜しい男だが、自滅を待つか」
いうだけいったふうである、いやまだいくらでもある余地をみせて、高氏は庭のほうへ顔をそむけた。一とき、その眼はらんと光ってみえた。いつか陽も夕めいた濃い木蔭には槍の光がしきりに遠くを歩いている。武者隠しのふすまの蔭にもコトと小さい物音が二、三度した。しかし道誉はそれも自分の呼吸も忘れていた。ただ目の前の横顔を睨めすえていた。
ころそうと思えば殺せる。生け捕ろうとすれば生け捕れる。いまなら、道誉の意のままだろう。
その危険を、高氏が感じないはずはない。が、感じていないかのようである。――庭へ眼をやっている。危険極まりないことだ。
もっとも高氏にすれば、ここへ臨むときからすでに、八方やぶれでいるのかもしれない。しかし、それならなんで不知哉丸を連れてきたのか。一子不知哉丸を質子として預けると提言したのか。
「足利」
やがてであった。