Classici giapponesi con furigana
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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
Leggi 秘境の日輪旗 (ひきょうのにちりんき) di 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 84.829 caratteri · 169 schermate
その中に、気付かれないように用心しながらも、しつっこく、英夫の様子に目をつけている男のいることを、英夫はもちろん、すこしも気がつかなかった。
その男は趙だった。
「わけがありそうじゃあねえか……」
飯を手づかみで口へ放りこむと、趙は、隣の男の脇腹を肘でついた。
甲板は、しぶきと泡をたてながら、躍りこえる波に洗われていた――。
たれこめた、薄墨色の密雲と、どす黒い波のうねりの間を、帆柱や、ボートの支柱や、手摺にあたって、ひゅうひゅう唸りをあげる風のほか、何もない、南支那海のまっ唯中を航海しているのだった。
「甲板は危険です。扉をかたく閉めて来て下さい」
階段の下から英夫は船長のどなっている声を聞いた。
「殊によると、あすか、あさっての夜、颱風圏内を突破しなければなりません。もちろん全力をつくしてたたかいますが、万一の場合を覚悟していて下さい」
英夫のおりるのを、待ちかまえていたように、船長がいった。
「僕はかまいません、大切な使命ですから、船長しっかりやって下さい」
「ありがとう……」
と、いってから、急に声を落して、
「この船は敵船だったのを分捕ったんです。