Classici giapponesi con furigana
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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
Leggi 秘境の日輪旗 (ひきょうのにちりんき) di 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 84.829 caratteri · 169 schermate
怪しいトランク
怪しいトランク
窮屈な箱の中に何時間ぐらいいただろう……ながいながい時間を過したような気がした。お腹がすくと、パンや腸詰を食べた。そのせいかひどく咽喉が乾いて来た。
いつの間にか眠くなって、うとうととしていた時だった。
――こつこつ、こつこつ……
聞き耳をたてると、合図の音が聞えた。
祥子も小さい金槌で合図をかえした。
おなじような木箱が、たくさんある中から、見わけするために、趙と打合わしてあった合図の音だった。
「これにちげえねえ!」
ひそひそと囁く声が聞えて、箱の蓋が開かれ、祥子は箱の中から出された。
「トランクはあるだろうな、え、ねえちゃん、トランクをこっちへ出しな」
昼は、どこからともなく、かすかなうすあかりがもれて来るので、たぶん夜――真夜中ごろなのだろう、あたりはまっ暗で、趙と、もう一人の支那人らしい男が、懐中電灯を持って立っていた。
「あたし、重くって持てないわ」
「あっ、そうか、そいつはこっちが悪かった」
趙は、ごそごそと箱の中にもぐりこんで、トランクを取り出した。
祥子は、何よりも咽喉が乾いてたまらなかった。水をたのむと、
「ちぇっ、贅沢いってらあ……しようがねえ、王お前行ってくんで来い」