Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

Leggi 秘境の日輪旗 (ひきょうのにちりんき) di 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 84.829 caratteri · 169 schermate

Aozora Bunko

「村山作太郎……、僕、こんな名前の人知らないなあ、兵隊さん?」

「いいえ、兵隊さんじゃありませんの、どういう人か小母さんも知りませんし、ちょっとへんな人ですよ」

「へんな人って?……」

小母さんの話によると、その人は、ついさっき英夫を訪ねて来た。

帽子も、外套も黒ずくめで、おまけに顔色までひどく黒かった。ヒトラー総統のような、短い口髭をたくわえた、目付の鋭い男だという。

「あれじゃ、暗がりに立っていたら、ちょっとわかりませんね」

小母さんは笑った。

ながいこと河井家にいる小母さんだったが、その男の顔には、全然見覚えがなかった。

「どういう御用件でしょう、英夫さんもお正午ごろまでにはお帰りになりますけど」

といつまでも玄関に突立っている男にいうと、

「実は……」

と、何か話しかけたが、急に思いとまったらしく、

「たいへん重大な用件でありまして、ぜひ、直接お目にかかって、お話ししたいのであります。ではまた午後に……」

そういって、あたふたと、帰って行った。

小母さんの話だと、すこしも要領を得なかった。ただ不思議なことには、用件は英夫のことについてらしいのに、園部家のこともいくらか知っているらしく、どうして東京を引きあげて行ったのか、女の子が一人いるはずだが、やはり田舎へ行っているのか、そんなことを小母さんに、いろいろききただし