Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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わらうあくま

笑う悪魔

野村 胡堂

Leggi 笑う悪魔 (わらうあくま) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 27.687 caratteri · 55 schermate

Aozora Bunko

早坂勇は千軍万馬往来で、面会謝絶や居留守には馴れて居りました。日頃は寧ろ弱気で好人物の早坂勇ですが、仕事の事となると、俄然性根に筋金が入って、梃でも動かない闘士になるのでした。

が、熊谷家の大玄関一パイに溢れた飾電燈の光に照し出されて、樫の大扉を背に、大理石のモザイクの上に立った、足の勇の風采もまた抜群だったのです。長い髪の毛をベートーヴェンのように振り乱して、羊羹色の大外套、ボヘミアン襟飾にゴム長を穿いた恰好は、モーニングやエブニング・ドレスを着飾った、紳士淑女の夜会に飛込むような代物ではありません。

「でも、御用件を伺わないと――」

本田大助はまだ汚い名刺を二本の指につまみ上げて、モジモジして居ります。長目の毛を鍋冠りに撫で上げて、細面に何やら塗りたくったらしく、ピカピカする顔、赤縞のネクタイ、仕立ての良いモーニング、年は四十近いでしょうが、何様以て五分もすかさぬ典型的な秘書です。

「新聞記者が事件の現場へ来たんだ、用件なんかあるわけは無いぜ、君」

勇は少しムッとしました。

「それじゃお取次申すわけには参りません」

「そんな馬鹿な事が」

この争は併し長くは続きませんでした。