Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Leggi 細雪 (ささめゆき) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 226.715 caratteri · 431 schermate

Aozora Bunko

娘さんはどうなさるか知ら? それでは約束が違いますから何卒お帰りになって下さい、と、娘さんではよう仰っしゃるまいが………と、お春は途々そう思いながら、新国道の柳の川の停留場へ出て、いつものようにそこから電車へ乗ろうとすると、折よく蘆屋川の顔見知りの運転手が、神戸の方から空のタキシーを飛ばして来たので、ちょっと! 帰りやったら乗せて行ってんかと、往来の此方側から声をかけて自分の傍へ車を着けさせ、わざわざ廻り道をさせて蘆屋の家の曲り角まで運んで貰った。彼女は勝手口から息を弾ませて上って行き、台所で玉子の薄焼を作っているお秋に、御寮人さん何処にいやはる? 旦那さんまだお帰りになれへんやろうな? えらいこッちゃねん、奥畑の若旦那さんが病院へやって来やはってん、と、通りがけにさも大事件らしく口走って、廊下から洋間を覗き込み、好い塩梅に幸子がひとり長椅子に臥ころんでいるのを見付けると、御寮人さん、今若旦那さんが病院に見えてはりますねん、と、ひそひそ声で云いながら這入って行った。

「え」

と云って、幸子も途端に顔色を変えて起き上ったが、事件よりも仰山そうなお春の声に驚かされた形であった。