Classici giapponesi con furigana
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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
Leggi 細雪 (ささめゆき) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 226.715 caratteri · 431 schermate
ついこの間まで玩具のような矮小な家に住んでいた亡命露西亜人の娘が、忽ち英国に渡って大会社の社長殿の夫人に出世し、お城のような邸宅で人も羨む栄華な暮しをするようになったかと思えば、それも束の間で、今や英国民全体の上に未曾有の惨事が降りかかろうとしているのである。独軍の空襲は、分けても倫敦周辺の地区に於いて苛烈を極めるであろうから、あの豪壮なカタリナの邸宅なども一朝にして灰燼に帰するであろう。いや、それくらいで済めばよいが、悪くすれば食うに食なく纏うに衣なき境涯にまで落ちねばなるまい。恐らく英国の人々は、いつから空襲が始まることかと生きた心地もないであろうが、今となって見ればカタリナも、遠い日本の空に憧れてはいないであろうか。あの夙川の貧しい家に住む母や兄の上に思いを馳せて、自分もあの家にいた方がよかったと、後悔しているのではなかろうか。………
「こいさん、一遍カタリナのとこへ手紙出して見たら、………」
「ふん、今度キリレンコの兄さんに遇うたらアドレッス聞いて見るわ」
「シュトルツさんの所へも出したいねんけど、誰か手紙を独逸語に訳してくれる人ないやろかなあ」