Classici giapponesi con furigana
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みみこうすい
耳香水
大倉 燁子
Leggi 耳香水 (みみこうすい) di 大倉 燁子 (おおくらてるこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.465 caratteri · 29 schermate
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それも一度ではありません。それまで夫人と私は一面識もなかったのです。それがこの世を去る間際になって、つづけざまに、二度も三度も見るなんて――、全く不思議じゃありませんか。どうも前置きが大変長くなって済みませんでした。
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遅い食事をやっと終り、コーヒーを一口喫んだ処へ、卓上電話のベルが慌しく鳴りました。私はコップを右手に持ったまま、急いで受話器を耳に当てますと、
『たったいま、南京街のキールン・ホテルで、人殺しがありました』
助手の声でした。馳け付けてみたところで仕方がない。公の職務にあるわけじゃないんですから、現場に入れてくれるか、どうか、それさえ分りません。が、しかし、キールン・ホテルの主人夫妻を私は知っているのです。というのは、この夫婦は以前私の親類の家に使われていたコックとアマなのです。忠実でよく働いたというので、ホテルを開業した時は勿論、その後も引き続いて何かと世話を焼いてやっているのです。そういう関係がありますので私から話してみたら、あるいは何かの便宜を与えてくれないものでもありません。大して興味もなかったのですが、せっかく知らせてくれた助手の手前もあるので、とにかく行ってみようと思い、ハーフ・コートを引掛けて家を出ました。