Classici giapponesi con furigana
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たんでき
耽溺
岩野 泡鳴
Leggi 耽溺 (たんでき) di 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 55.597 caratteri · 110 schermate
ふと、気がつくと、まだ日が暮れていない。三人は遠慮もなくむしゃむしゃやっている。僕は、また、猪口を口へ運んでいた。
「先生は御酒ばかりで」と、お袋は座を取りなして、「ちッともおうなは召しあがらないじゃアございませんか?」
「やがてやりましょう――まア、一杯、どうです、お父さん」と、僕は銚子を向けた。
「もう、先生、よろしゅうございますよ。うちのは二、三杯頂戴すると、あの通りになるんですもの」
「しかし、まだいいでしょう――?」
「いや、もう、この通り」と、おやじは今まで辛抱していた膝ッこを延ばして、ころりと横になり、
「ああ、もう、こういうところで、こうして、お花でも引いていたら申し分はないが――」
「お父さんはじきあれだから困るんです。お花だけでも、先生、私の心配は絶えないんですよ」
「そう言ったッて、ほかにおれの楽しみはないからしようがない、さ」
「あの人もやッぱし来るの?」吉弥がお袋に意味ありげの目を向けた。
「ああ、来るよ」お袋は軽く答えて、僕の方に向き直り、「先生、お父さんはもう帰していいでしょう?」
「そこは御随意になすってもらいましょう。――御窮屈なら、お父さん、おさきへ御飯を持って来させますから」