Classici giapponesi con furigana
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じゆうじん
自由人
豊島 与志雄
Leggi 自由人 (じゆうじん) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 69.030 caratteri · 139 schermate
その辺に、わたしのとは異った世界に、何かわたしの知らないものがある。そこまでわたしは飛び出してゆきたい。しかし、わたしにも人間としての矜持があり、はしたない真似はしたくない。待とう。あの人がきっと手引きして下さるだろう。
その、菅原洋平さんが、八月のはじめに九州方面へ旅行して、それきり帰って来ないのだ。一週間ばかりというお話だったが、四週間たっても、五週間たっても、音沙汰がない。せめて絵葉書の一枚でも、わたしのところへは来る筈だ。ほかのところへはとにかく、わたしのところへだけは、何か便りがあってもよい。
わたしはそれとなく、北村さんに尋ねてみた。菅原さんが関係してる天元社という出版所にも、二度ほど電話してみた。それでも、何の手掛りも得られなかった。
天元社では、いつ帰って来るか分らないと、ひどく曖昧なことを言う。北村さんは、そらとぼけた調子なのだ。
「そう、一週間ばかりだと言っていたが、なあに、菅原君のことだから、いつ帰って来るものやら、分りゃあしないよ。然し、大丈夫、心配なことはない。」
そうは言うものの、北村さん自身、なにか気にかかることがあり、それを自分で打ち消そうとしてるのが、言葉の調子や様子に現われている。