Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

Leggi 花と龍 (はなとりゅう) di 火野 葦平 (ひのあしへい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 410.131 caratteri · 824 schermate

Aozora Bunko

二十五六年も前、夫が、これと寸分違わぬ恰好で、自分の前に突っ立ったことがある。大川時次郎が来たときだ。「間男、見つけた。打ち斬ってくれる」といって、団栗眼をギョロギョロさせた。あのときはランプ、今は電燈、そして、金五郎が年をとっているだけの相違である。

マンは、あらためて、長い歳月の流れを思ったが、同時に、腹の底からこみあげて来る笑いを押し殺すのに、一方ならぬ苦労をした。

(また、お父さんがお芝居をしとる)

隣りの部屋から、襖を開いて飛びだして来たときから、マンは、そのことを感づいていた。

(あのときも、そうやったわ)

ガタッ、ピシャッ、と、家鳴り震動するほどのはげしさで開けられた襖、そのわざとらしさ、おどけ好きの金五郎。

「勝則」

と、さらに、威圧的な語調で、呼んだ。

「はい」

「もう、間もなく、夜が明ける。一番の汽車で、すぐに、博多に行け」

意味がわからず、息子は返事が出来ないようだった。なお、頭を落して、下唇をしっかりと噛んでいた。

「ええな、わかったな?」

「はい」

「たしか、一番は五時十七分の筈、まちがいなく、遅れんで、乗るんじゃぞ」

「はい」

「よし、もう、二階に帰れ。