Classici giapponesi con furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Leggi 苦心の学友 (くしんのがくゆう) di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.732 caratteri · 332 schermate
しかしこのさいは仕方がない。
「菊!」
「はあ」
「食塩をくれ」
「はあ?」
「食塩だよ」
「若様。私、奥様へ申しあげますよ」
「なにをいっているんだい?」
「若様はいつかお台所から食塩をお持ち出しになって、青梅をお召しあがりになって、おあてられになって……」
「うるさい!」
「私、また奥様に叱られます」
「ばか! 今頃青梅があるか?」
「そんならなにをお召しあがりになりますの?」
「たべるんじゃない」
「なんにお使いなさいますか?」
とお菊はゆだんをしない。照彦様はお台所へ来るとかならず問題をひきおこす。
「なんに使ってもいいじゃないか? 家のものだ」
「若様は食塩なんかほしがるものじゃございませんよ」
「そんなことをいわないで少しくれ。なめくじにぶっかけてやるんだ」
と照彦様はうそをついた。ほんとうをいって正三君のかっぱ顔を見にこられては困ると思ったのである。花岡家の女中たちは皆物見高い。
「おいたをなさるんではなおさしあげられません」
「うがいをするんだ」
「ほんとうでございますか?」
「僕がするんだ」
「それならただ今洗面所へ持って参じます」
「食塩てそんなに高いものかい?」
「オホホホホ」