Classici giapponesi con furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Leggi 苦心の学友 (くしんのがくゆう) di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.732 caratteri · 332 schermate
『鰯でございます』と私は恐る恐るお答え申しあげました。『実に結構なものじゃの。東京では見たことも聞いたこともない。早速購い求めて屋敷へ送るがよいぞ』と大殿様が仰せになりました。『は、は、はあはあ』と、平伏した私は感極まって涙が止め度もなく流れました」
「いったいどうなすったんでございますか?」
「大殿様は鰯をご存じなかったのでございます。大大名はこうありたいものだと思いました。ところで若様」
「はあ」
「これはなんでございましょう?」
と安斉先生は学習室の壁にかけてあった照正様の油絵を指さした。
「静物でございます」
「いろいろと俎の上にのっているようですが、お魚はなんでございましょうか?」
「これは俎じゃありません。テーブルです。お魚は鰊の干したのです」
「ははあ。私は鰯かと存じました」
「こんな幅の広い鰯はございません」
「しかし鰊も鰯も似たり寄ったりの下魚でございます。お大名の存じていてよろしい魚ではありません。若様がこういうものをご熱心にご写生あそばされては、地下のお殿様がお泣きになりましょう」
「先生」
と照正様はいきごんで、議論をするつもりだったが、また考え直して、