Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くしんのがくゆう

苦心の学友

佐々木 邦

Leggi 苦心の学友 (くしんのがくゆう) di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.732 caratteri · 332 schermate

Aozora Bunko

「いや、きみがくれば大じょうぶだ。いこう。さあ、来たまえ」

と照彦様は正三君の手を引いて長廊下を駈けだした。

お姉様はご長男の照正様とご次男の照常様のお次にあたる。妙子様といってお年は十六、女子学習院へ通っていられる。上のお姉様方はお二人とももうかたづいていらっしゃるから、お姫様はこのお一方だ。伯爵家ではお姫様方はみんなお成績がおよろしい。ことに妙子様は才媛で、お母様のご鍾愛をほしいままにしている。お部屋もお母様のおとなりだった。

「お姉様」

「照彦さん?」

「はあ」

「何ご用?」

と妙子様はお部屋の内からきいた。入れない算段だった。

「だめだ。まだおこっている。妙子、妙な子、おこりっ子!」

とつぶやいて、照彦様は首をちぢめた。

「照彦さん!」

とそれが内まできこえたようだった。

「お姉様、内藤君がちょっとご機嫌を伺いにあがりました。僕はお供です」

と答えて、照彦様は舌を出した。ナカナカ平民的だ。

「それならおはいりなさい」

正三君はもう仕方なく、照彦様に押されて先にはいった。

「よく来てくださいましたのね。さあ、どうぞこちらへ」

と妙子様は刺繍台の前に坐ったままお愛想よく請じた。