Classici giapponesi con furigana
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くさまくら
草枕
Leggi 草枕 (くさまくら) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 84.485 caratteri · 170 schermate
床は平床を鏡のようにふき込んで、気を吹いた古銅瓶には、木蘭を二尺の高さに、活けてある。軸は底光りのある古錦襴に、装幀の工夫を籠めた物徂徠の大幅である。絹地ではないが、多少の時代がついているから、字の巧拙に論なく、紙の色が周囲のきれ地とよく調和して見える。あの錦襴も織りたては、あれほどのゆかしさも無かったろうに、彩色が褪せて、金糸が沈んで、華麗なところが滅り込んで、渋いところがせり出して、あんないい調子になったのだと思う。焦茶の砂壁に、白い象牙の軸が際立って、両方に突張っている、手前に例の木蘭がふわりと浮き出されているほかは、床全体の趣は落ちつき過ぎてむしろ陰気である。
「徂徠かな」と和尚が、首を向けたまま云う。
「徂徠もあまり、御好きでないかも知れんが、山陽よりは善かろうと思うて」
「それは徂徠の方が遥かにいい。享保頃の学者の字はまずくても、どこぞに品がある」
「広沢をして日本の能書ならしめば、われはすなわち漢人の拙なるものと云うたのは、徂徠だったかな、和尚さん」
「わしは知らん。そう威張るほどの字でもないて、ワハハハハ」
「時に和尚さんは、誰を習われたのかな」