Classici giapponesi con furigana
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くさまくら
草枕
Leggi 草枕 (くさまくら) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 84.485 caratteri · 170 schermate
十三
内は空しき十畳敷に、狩野派の双幅が空しく春の床を飾っている。
「久一さん」
納屋の方でようやく返事がする。足音が襖の向でとまって、からりと、開くが早いか、白鞘の短刀が畳の上へ転がり出す。
「そら御伯父さんの餞別だよ」
帯の間に、いつ手が這入ったか、余は少しも知らなかった。短刀は二三度とんぼ返りを打って、静かな畳の上を、久一さんの足下へ走る。作りがゆる過ぎたと見えて、ぴかりと、寒いものが一寸ばかり光った。
十三
川舟で久一さんを吉田の停車場まで見送る。舟のなかに坐ったものは、送られる久一さんと、送る老人と、那美さんと、那美さんの兄さんと、荷物の世話をする源兵衛と、それから余である。余は無論御招伴に過ぎん。
御招伴でも呼ばれれば行く。何の意味だか分らなくても行く。非人情の旅に思慮は入らぬ。舟は筏に縁をつけたように、底が平たい。老人を中に、余と那美さんが艫、久一さんと、兄さんが、舳に座をとった。源兵衛は荷物と共に独り離れている。
「久一さん、軍さは好きか嫌いかい」と那美さんが聞く。
「出て見なければ分らんさ。苦しい事もあるだろうが、愉快な事も出て来るんだろう」と戦争を知らぬ久一さんが云う。