Classici giapponesi con furigana
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くさまくら
草枕
Leggi 草枕 (くさまくら) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 84.485 caratteri · 170 schermate
と説明もなく、女はすらりと節もつけずに歌だけ述べた。何のためか知らぬ。
「その歌はね、茶店で聞きましたよ」
「婆さんが教えましたか。あれはもと私のうちへ奉公したもので、私がまだ嫁に……」と云いかけて、これはと余の顔を見たから、余は知らぬ風をしていた。
「私がまだ若い時分でしたが、あれが来るたびに長良の話をして聞かせてやりました。うただけはなかなか覚えなかったのですが、何遍も聴くうちに、とうとう何もかも諳誦してしまいました」
「どうれで、むずかしい事を知ってると思った。――しかしあの歌は憐れな歌ですね」
「憐れでしょうか。私ならあんな歌は咏みませんね。第一、淵川へ身を投げるなんて、つまらないじゃありませんか」
「なるほどつまらないですね。あなたならどうしますか」
「どうするって、訳ないじゃありませんか。ささだ男もささべ男も、男妾にするばかりですわ」
「両方ともですか」
「ええ」
「えらいな」
「えらかあない、当り前ですわ」
「なるほどそれじゃ蚊の国へも、蚤の国へも、飛び込まずに済む訳だ」
「蟹のような思いをしなくっても、生きていられるでしょう」
ほーう、ほけきょうと忘れかけた鶯が、いつ勢を盛り返してか、時ならぬ高音を不意に張った。