Classici giapponesi con furigana
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くさめいきゅう
草迷宮
泉 鏡花
Leggi 草迷宮 (くさめいきゅう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.733 caratteri · 142 schermate
名は菖蒲と言いました。
一体その娘の家は、母娘二人、どっちの乳母か、媼さんが一人、と母子だけのしもた屋で、しかし立派な住居でした。その母親というのは、私は小児心に、ただ歯を染めていたのと、鼻筋の通った、こう面長な、そして帯の結目を長く、下襲か、蹴出しか、褄をぞろりと着崩して、日の暮方には、時々薄暗い門に立って、町から見えます、山の方を視めては悄然彳んでいたのだけ幽に覚えているんですが、人の妾だとも云うし、本妻だとも云う、どこかの藩候の落胤だとも云って、ちっとも素性が分りません。
娘は、別に異ったこともありませんが、容色は三人の中で一番佳かった――そう思うと、今でも目前に見えますが。
その娘です、余所へは遊びに来ましたけれど、誰も友達を、自分の内へ連れて行った事はありませんでした。
寄合って、遊事を。これからおもしろくなろうという時、不意に母さんがお呼びだ、とその媼さんが出て来て引張って帰ることが度々で、急に居なくなる、跡の寂しさと云ったらありません。――先の内は、自分でもいやいや引立てられるようにして帰り帰りしたものですが、一ツは人の許へ自分は来て、我が家へ誰も呼ばない、という遠慮か、妙な時ふと立っちゃ、独で帰ってしまうことがいくらもあったんです。