Classici giapponesi con furigana
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かつしかみやげ
荷風随筆集(上)
永井 荷風
Leggi 荷風随筆集(上) (かつしかみやげ) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 133.224 caratteri · 269 schermate
然らばこの問題を逆にして試に東京の外観が遠からずして全く改革された暁には、如何なる方面、如何なる隠れた処に、旧日本の旧態が残されるかを想像して見るのも、皮肉な観察者には興味のないことではあるまい。実例は帝国劇場の建築だけが純西洋風に出来上りながら、いつの間にかその大理石の柱のかげには旧芝居の名残りなる簪屋だの飲食店などが発生繁殖して、遂に厳粛なる劇場の体面を保たせないようにしてしまった。銀座の商店の改良と銀座の街の敷石とは、将来如何なる進化の道によって、浴衣に兵児帯をしめた夕凉の人の姿と、唐傘に高足駄を穿いた通行人との調和を取るに至るであろうか。交詢社の広間に行くと、希臘風の人物を描いた「神の森」の壁画の下に、五ツ紋の紳士や替り地のフロックコオトを着た紳士が幾組となく対座して、囲碁仙集をやっている。高い金箔の天井にパチリパチリと響き渡る碁石の音は、廊下を隔てた向うの室から聞えて来る玉突のキュウの音に交わる。初めてこの光景に接した時自分は無論いうべからざる奇異なる感に打たれた。そしてこの奇異なる感は、如何なる理由によって呼起されたかを深く考え味わねばならなかった。