Classici giapponesi con furigana
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あいみじんのきもの
藍微塵の衣服
田中 貢太郎
Leggi 藍微塵の衣服 (あいみじんのきもの) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 1624 caratteri · 4 schermate
「いえ、そんなことはありませんよ」
「なら何かね、云ってごらん、お前さんの力になってやるよ」
こうした会話がかわされた後で、後妻は蒼白い顔をあげて云った。
「私がこんなにしているのは、恐ろしいことがあるからですよ、夜寝ておりますと、仏壇のある方の室とこっちとの間の襖が開いて、女の人が出て来てお辞儀をするから、もう恐ろしくって恐ろしくって、夜もおっちりと睡ったことはありませんが、所天に云うのも厭だから黙っております」
「どんな女だね」と、老人は聞いてみた。
「壮いな女ですよ、藍微塵の衣服を着て、黒襦子の帯を締め、頭髪は円髷に結うております」
「何か云うかね」
「何も云わずに、白い痩せた手をしとやかに突いて、私の方へ向いてお辞儀するのですよ」
老人はすぐ前妻ではないかと思ったが、それは口へは出さなかった。そして、所天を呼びにやって所天を前に据えて後妻の云ったことを話した。
「藍微塵の衣服を着ていたと云うが、何かお前に心当りがあるのか」
藍微塵の衣服は前妻が非常に好きで、何時も好んで着ていたのを知っている所天は、背筋が寒かった。
「……それは死んだ彼女が好きな衣服だったのですよ」