Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

――私はね。昨夕兄と一さんと糸子さんといっしょに、イルミネーションを見に行ったんですよ」

「ああ、そうですか」

「ええ、そうして、あの池の辺に亀屋の出店があるでしょう。――ねえ知っていらっしゃるでしょう、小野さん」

「ええ――知って――います」

「知っていらっしゃる。――いらっしゃるでしょう。あすこで皆して御茶を飲んだんです」

男は席を立ちたくなった。女はわざと落ちついた風を、飽くまでも粧う。

「大変旨い御茶でした事。あなた、まだ御這入になった事はないの」

小野さんは黙っている。

「まだ御這入にならないなら、今度是非その京都の先生を御案内なさい。私もまた一さんに連れて行って貰うつもりですから」

藤尾は一さんと云う名前を妙に響かした。

春の影は傾く。永き日は、永くとも二人の専有ではない。床に飾ったマジョリカの置時計が絶えざる対話をこの一句にちんと切った。三十分ほどしてから小野さんは門外へ出る。その夜の夢に藤尾は、驚くうちは楽がある! 女は仕合なものだ! と云う嘲の鈴を聴かなかった。

十三

太い角柱を二本立てて門と云う。扉はあるかないか分らない。夜中郵便と書いて板塀に穴があいているところを見ると夜は締りをするらしい。