Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

と宗近君は中二階を下りる。

十七

小野と浅井は橋まで来た。来た路は青麦の中から出る。行く路は青麦のなかに入る。一筋を前後に余して、深い谷の底を鉄軌が通る。高い土手は春に籠る緑を今やと吹き返しつつ、見事なる切り岸を立て廻して、丸い屏風のごとく弧形に折れて遥かに去る。断橋は鉄軌を高きに隔つる事丈を重ねて十に至って南より北に横ぎる。欄に倚って俯すとき広き両岸の青を極めつくして、始めて石垣に至る。石垣を底に見下して始めて茶色の路が細く横わる。鉄軌は細い路のなかに細く光る。――二人は断橋の上まで来て留った。

「いい景色だね」

「うん、ええ景色じゃ」

二人は欄に倚って立った。立って見る間に、限りなき麦は一分ずつ延びて行く。暖たかいと云わんよりむしろ暑い日である。

青蓆をのべつに敷いた一枚の果は、がたりと調子の変った地味な森になる。黒ずんだ常磐木の中に、けばけばしくも黄を含む緑の、粉となって空に吹き散るかと思われるのは、樟の若葉らしい。

「久しぶりで郊外へ来て好い心持だ」

「たまには、こう云う所も好えな。僕はしかし田舎から帰ったばかりだからいっこう珍しゅうない」