Classici giapponesi con furigana
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せいりんず
西林図
久生 十蘭
Leggi 西林図 (せいりんず) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.309 caratteri · 21 schermate
冬木は腕を組んで考えているうちに、ああ、句が出来たのだと、考えがそこへいくと、ようやくいきあたったような気がした。
風よ惜しめ一つこもり居る薔薇の紅
という冬亭の最近の句は、例によってさんざんな目に逢った。冬木もひと太刀浴びせた組だが、冬月師は、つぎに出てくるものを待とうといい、期するところがあるようで、冬亭としても、この月の句会には、どうしても秀作をものしなくてはならない絶命にいた。察しるところ、秋色の池の汀で、鶴を掴まえるというような秀句がさきに出来てしまい、かたちだけでも、鶴を追いまわすような真似をしなければならなくなっているのではないか。いやがるのを無理強いに連れだそうと企てる以上、句の中に冬木も入っているので、断ったりすると、みすみす秀句を殺すことになるのかもしれない。冬亭の句境は冬木も異端とするにはばからないが、弟弟子にたいする愛情は、もちろんべつなものである。
冬木は立ちあがって、かいがいしくじんじんばしょりをすると、
「なんだか面白くなってきた。おれも行くよ」
というと、冬亭は機嫌をなおして、
「行ってくださいますか。文女さんも……」