Classici giapponesi con furigana
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スペインのこい
西班牙の恋
国枝 史郎
Leggi 西班牙の恋 (スペインのこい) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.387 caratteri · 49 schermate
二 唯一発で放ち殺すさ
そうかと思うと突発的に陽気になることもございます。熱病病みか狂人か、怖いような時がございますわ」
「熱病やみか狂人か?……」私は心で呟いた。それでは此俺と同じでは無いか。一体どうしたと云うのだろう? この快活なムリオめが?
私達は室へ這入って行った。
彼、ムリオは、ああ本当に、何んてまあ変わって了ったんだろう? 彼は蒼白の顔をして(曾はそれは活々としたピンク色を呈していたではないか。)波斯模様の氈を掛けた長榻に深く身を埋め、首をうな垂れているではないか。その髪は艶々と黒くはあるがその眼はどんよりと光が無い。
二 唯一発で放ち殺すさ
西班牙の夕暮の美しさ! 真昼の暑さは名残り無く消えて、涼しい微風が庭園の上や家々の周囲を吹き巡る。真珠色をした夕の闇が純白の石楠花の大輪の花や、焔のような柘榴の花を、可惜そうに引き包み、咽せ返えるような百合の匂が、窓から家内へ流れ込む。
古池の方からは鷭の啼く音が、思い出したように聞えて来る。そして空には、碧玉のような、大きな星が瞬いている。
私とムリオとカスピナとは、夜の燈火を灯もそうともせず、ほのかな外光を窓から受けた夢見るような室の中で、極めて静に話し合った。