Classici giapponesi con furigana
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かこうとしょうり
賈后と小吏
田中 貢太郎
Leggi 賈后と小吏 (かこうとしょうり) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4751 caratteri · 10 schermate
「さあ、お乗りください」
青年が乗ると老嫗は続いて乗りながら、前日と同じように昇降口の扉も窓の扉も締めてしまった。同時に車は走りだした。そして、前日のように甃石路を走り、石橋を越えなどして往ったが、やがてぴったりと停まった。
「さあ、帰りました」
老嫗は昇降口の扉を開けて青年が降りられるように体を片寄せた。青年は車を離れるのが残り惜しいような気がしたが、降りないわけにゆかないのでそのまま降りた。仙妃からもらった衣裳をしっかり持って。
そこは前日車に乗った処であった。青年がぼんやりと前日のことを頭に浮べたところで、車は飛ぶようにむこうの方へ往ってしまった。
青年は仙妃のことが忘れられないので、その翌日から仙妃にもらった衣裳を身に着けて歩いた。それは普通の民家でこしらえる衣ではなかった。昨日まで朝夕の生活に困っていたものがそうした衣を着たので、たちまち周囲の疑惑を招いた。青年はたちまち執えられた。青年は泣いて身の明しを立てようとした。
「この衣裳は仙妃からもらいました」
青年は老嫗に伴れて往かれて仙妃に逢い、仙妃と未了縁を全うして衣裳をもらって帰ってきたことを細ごまと話した。