Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

Leggi 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.351 caratteri · 43 schermate

Aozora Bunko

五

猪之は頭を掻き掻き、つまり暫くほとぼりをさまそうと思うんだ、と云った。

「あっしはどなりました、どなりつけてやりました」藤吉は酒がなくなったのに気づき、登に向かって燗徳利を振ってみせた、「もうちっとやりてえが、御迷惑ですか」

「いいとも」と登は頷いた。

藤吉が手を叩くと、階下で返辞が聞え、ころあいを計っていたのだろうか、まもなく女房が燗徳利を二本持って来た。

「しかしつまるところ、どなるほうが負けというやつですかね」と手酌で一と口啜りながら藤吉は話し続けた、「やりこめるだけやりこめたあげくが、猪之の思う壺にはまったかたちで、だらしのねえ話だが、また掛合いにゆきました」

こんどの相手は近江屋という、足袋股引問屋の女中で、お松という十八の娘であった。

五

近江屋は浅草御門外の福井町にあり、奥座敷の模様替えをするため、去年の冬のはじめに一と月ばかり「大政」から職人をいれた。そのとき猪之は、お松にいろいろ親切にされ、すっかり好きになったのだが、嫁に貰うということは考えなかった。それが、「梅本」のおよのと縁談がまとまったとき、とたんにお松を思いだし、かみさんにするならお松だと肚をきめた、ということであった。