Classici giapponesi con furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Leggi 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.351 caratteri · 43 schermate
猪之は肱枕をしたまま、ぼんやりおちよのようすを見まもっていて、ひょいと去定に一種のめくばせをし、顔をしかめて囁いた。
「へっ、女なんてもなあ、――ね」
軽侮と嫌悪のこもった表情であった、去定は黙って、さりげなく猪之とおちよを見比べていた。藤吉の家を出ると、街は片明りに黄昏れかけ、湯島台の家並が高く、紫色の影になって見えた。
「保本はどう思う」
神田川に沿って、聖坂のほうへ歩きながら、去定は前を見たままそう訊いた。登のうしろで、薬籠持ちの竹造が「へ」といった。自分が訊かれたと思ったらしい。登は彼に手を振ってみせて、それから去定に答えた。
「私は気鬱症だと思います」
「都合のいい言葉だ」と去定は云った、「高熱が続けば瘧、咳が出れば労咳、内臓に故障がなくてぶらぶらしていれば気鬱症、――おまえ今日からでも町医者ができるぞ」
登は構わずに反問した、「先生はどういうお診たてですか」
「気鬱症だ」と去定は平気で答えた。
登は黙っていた。
「明日おまえ一人でいってみろ」と去定は坂にかかってから云った、「藤吉と二人の、昔からのことを詳しく訊くんだ、あのとおり当人はなにも云わないから、藤吉に訊くよりしようがない」