Classici giapponesi con furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Leggi 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.351 caratteri · 43 schermate
猪之はお杉となにか話しながら、おゆみの住居のほうへと去ってゆき、登はそのまま自分の部屋へはいった。
登は森半太夫に、猪之のすることを見張ってくれるように頼んだ。自分は去定の供で、外診に廻るときのほうが多いからである。半太夫もひまは少ないが、それでもよく注意しているらしく、その日その日のことを詳しく知らせてくれた。――猪之は明らかに変り始めた。部屋にこもっていることが少なくなり、外へ出てなにかかにかする、薬園へでかけていって、鋸や鉋を借りだし、柵の毀れを直したり賄所の羽目板を打付けたりする。
朝夕はきまって、お杉の手籠を持ってやるし、たびたび賄所へいって刃物を研いだり、俎板を削ったり、ときには菜を洗う手伝いまでする、ということであった。
――それならもう安心だ。
まもなく元のようになるだろう、そう思ったので登はしぜんと猪之のことを気にかけなくなった。そうして九月中旬になった或る夜、外診から帰った登が着替えをして、おくれた食堂へはいろうとすると、猪之が追って来て呼びとめた。
「酒があるんですがね」と彼は囁き声で云った、「一杯つきあってくれませんか」
「酒だって、――どうしたんだ」