Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

Leggi 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.548 caratteri · 47 schermate

Aozora Bunko

「与平を黙らせろ」と長次が云った、「おい正公、いるか」

正吉が提灯を持ってこっちへ来た。うまくいったか。うん、めどへぴたりだ、と長次が云った。それ、中で喚いてるぜ、ほんとだ、野郎さぞ肝をつぶしたこったろう。灯を見せてくれ、と長次が云った。登は黙って、かれらのすることを眺めていた。

「あんたは証人だ」と長次が登に云った、「こっちへ来て、これからあっしが野郎に云うことを聞いておくんなさい」

登は頷いた。空はまだ明るいが、崖下になっているその空地はすっかり昏れていた。やや強くなった風に揺られて、枯草がそよぎ、提灯の光が、五人の男たちの姿を、片明りに映しだしていた。長次はそろそろと井戸の側へ進みよった。それは枯草に掩われた穴というだけで、いま松次郎が落ちたところだけ、僅かに土の崩れた跡が見えるが、井戸だという形はなにも残っていなかった。

「おい、高田屋」と長次がどなった、「どこかけがでもしたか」

底のほうで喚く声がしたが、がんがんと空洞に反響するばかりで、言葉はまったく聞きとれなかった。

「それだけ元気な声が出せるんなら大丈夫だろう、よく聞け」と長次が云って、ふところからさっきの書き物を取り出した、「これからわけを話してやるからな、おい、よく聞くんだぞ高田屋」