Classici giapponesi con furigana
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れんかんき
連環記
幸田 露伴
Leggi 連環記 (れんかんき) di 幸田 露伴 (こうだろはん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 49.281 caratteri · 95 schermate
ということらしい。鏡は当時猶なかなかに貴いものであったのである。定基は其筺を開いて鏡を見ようとすると、其包み紙の萎えたるに筆のあとも薄く、「今日のみと見るになみだのます鏡なれにし影を人にかたるな」と書いてあった。事情が何も分った訳ではないが、女の魂魄とする鏡を売ろうとするに臨みての女の心や其事情がまざまざと※に浮んで来て、定基は闇然として眼を瞑って打仰いで、堪えがたい哀れを催した。そこで、鏡は吾に要なければ返し取らせよ、定めて何彼と物の用あろうほどに、我がものは何なりと惜みなく其人に取らせよ、よくよくあわれびをかけよ、と吩附けて、涙の漏る眼をおし拭うた。この鏡を売りに来た女は何様いうものであったか、定基に何か因縁のあったものか、文化文政度の小説ならば、何かの仔細を附加えそうなところだが、それは何も分明していない。恐らくは偶然に斯様いうことが湧いて来たのであろう。強いて筋道を求むれば、人が濁悪の世界を離れようとする時には、不思議に上求菩提の因縁となることが現出するもので、それは浄居天がさせるわざだ、という小乗的の談があるが、仮りに其談に従えば、浄居天が定基を喚びに来てくれたものであったろう。