Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate

Aozora Bunko

「あ、そうか! そこまで気がつかなかった」

土曜日の夜は、いつも、目立たないながら一夜どまりの男女の組が多くて、大きくもないホテルの部屋部屋はふさがるのだった。

蜂谷は、ぬいでいるソフトを左手にさげて、ハンカチーフで額をふきながら、思案している。伸子も素子も帳場のわきにたたずんだままこまった。もともと、ピスカトールの芝居を観に蜂谷が一緒に行ったのは、伸子たちへのつき合いだった。場末の劇場だし、案内所で扱う切符ではないからと、蜂谷が切符の面倒も見てくれたのだった。

いよいよ、ほかに思案がつかないなら、ふた部屋もっている女二人がかたまって、素子の室をあけて蜂谷が泊れるようにしたらどうなのだろう。伸子はそう思いながらだまって、素子が何とか発案するのを待った。伸子と素子との生活のなかで、こんやのような場合には一種のデリケートさがあった。伸子が先立って、蜂谷がとまれるようにあっせんしたりすると、それは何となし単純なことでなく素子に映る危険があって、伸子は用心ぶかくなっているのだった。

やがて、素子が決心したように、

「ぶこちゃん、われわれがかたまって、わたしの方をあけるか」