Classici giapponesi con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
そこでこれまで二人の娘がいたひろい方へ素子がうつり、ヴェーラがうなぎの寝床へはいることになったのだそうだった。
「うちの連中にとっちゃ、一挙両得さ。なにしろこんどは、室代が倍だもの」
素子はカンガルーの毛皮をつけた新調の外套を着てきていた。めずらしい毛皮の柔かくくすんだ色が、十二月のモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の外気の刺戟で活気づけられている素子の顔の小麦肌色と、似合った。
伸子は、国境駅の白樺板の上にまで進出している「五ヵ年計画」をすぎてゆく街々の角に発見しようとするようにタクシーの窓から目をはなさないのだった。素子がひろい室に移っている、そのことに自分のいる場所の安定も約束されている。それ以上をもとめないこころもちで、伸子は、アストージェンカの、板囲いをはいって行き、太った住宅管理人が、山羊外套の肩にトランクをかついで運び終るのを待って、ルケアーノフのクワルティーラへのぼって行った。ところどころささくれているようなむき出しのセメント階段のふみ心地。あたためられている建物の内部に、かすかに乾いたセメントのにおいがただよっている。これがモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の新しい足ざわりであり匂いだった。