Classici giapponesi con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
泰造は、ほんとにみんなが気の毒だと思ってそれを書いた、と弁明した。その時代の伸子は、母のあのときの憤りが、決してひな鳥のむしやき一皿にだけ向けられていたのではないことを諒解した。そういう御馳走。葡萄酒の酔い。屈託のない男たちの談笑。小説もよみ外国雑誌の絵も見ている多計代は、そういう情景のなかに、細腰を蜂のようにしめあげて、華美な泡のようにひろがるスカートをひいた金髪の女たちの、故国にある家庭などを男に忘れさせている嬌声をきいたのだろう。
「漱石だって、かいたものでよめば、外国暮しでは、別な意味で随分両方苦しんでいるわね。奥さんにしろ」
自分がいま保にかいたばかりの手紙を思い、その文面にものぞき出ているような動坂の家の生活とここの自分の生活との間にある裂けめの深さを伸子は、計るようなまなざしになった。
モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)に暮しているものとしての伸子の心へ、角度を新しくして映る日本の生活一般、または動坂の暮しぶりに対して、自分の云い分を伸子は割合はっきりつかむことが出来た。しかし、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)にいる伸子のそういう云い分に対して、佐々のうちのものや友人たちが、変らないそれぞれの環境のなかにあって、どういううけとりかたをするか。