Classici giapponesi con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
水色木綿の服の上から、胸のところがひとりでにふくらむほどきつく糊をしたエプロンをかけ、同じようにきつく糊をした小さい白い看護婦帽を頭にのせた一人の看護婦が、その椅子にかけている。そして、モウパッサンの「頸飾」を伸子のために音読していた。
伸子はベッドにねてそれをきいている。日本語の翻訳で、伸子はその傑れた短篇を知っていた。でも、英語でよまれるのをきいている。はじめのうちは克明に声を出してゆっくり読んできかせていたミス・ジョーンズは――背のたかい、伸子に年のよくわからない気のいいその看護婦はそういう名だった――だんだん物語につりこまれるにつれ、伸子が眠ってしまったと思いでもしたのか、段々黙って、頁から頁へ、ひきつけられて読みすすんで行った。そして、暫くしてよみ終ったとき、思わず前こごみになっていた背中をのばして安楽椅子へもたれこみながら、ミス・ジョーンズは、
「可哀そうに!」
心からそうつぶやいて、幾人もの看護婦に読みまわされたらしく頁の隅のめくれあがって手ずれた本をエプロンの膝の上においた。
じっとして仰向きにねている伸子の胸に、ミス・ジョーンズの実感のこもった Poor thing !(かあいそうに)という響がしみとおった。