Classici giapponesi con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Leggi 道標 (どうひょう) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 846.457 caratteri · 1672 schermate
多計代の考えかたは、きまっていた。ロシア――ボルシェビキ――伸子の思想――と。多計代は、突嗟にそれを口に出して議論するだけまとまった反撥のよりどころを伸子に対してもっているわけではないのだった。
錦のつつみもの、そのものから直接にうけた衝撃と、それをきっかけにはたらいた多計代の態度への苦しさとが加わって、伸子はかたくなな心になった。保へのいとしさから、伸子がそっと錦のつつみの上に手を置くことがあるとすれば、それは誰もいないとき、誰も見ないとき、そういうときだけされることなのだった。
和一郎と小枝にくっついて行っていたつや子が、室へもどって来た。ドアを入りしな、つや子は素早い視線を煖炉棚へ向けた。そして、そこにのせられているものを見ると、強いてそれを見なかったような、そんな表情を少女の顔の上に浮べた。
伸子は感じるのだった。この様子でみればつや子も、おそらくは和一郎も小枝も、心のなかではこの錦の包みものを重荷として感じているのだ、と。泰造さえ、あるいは、こういう形で保をつれまわることを、多計代の満足のためにだけうけ入れているのかもしれなかった。多計代をのぞく佐々のうちのものは、みんな目前に生きていて、あるときは自然に、あるときは軽率に生活を肯定してゆくたちの者たちなのだった。