Classici giapponesi con furigana
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とおのへ
遠野へ
水野 葉舟
Leggi 遠野へ (とおのへ) di 水野 葉舟 (みずのようしゅう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 55.903 caratteri · 117 schermate
寒い国のことはちっとも知りませんが、お国の方になると、景色なんぞも、ずっと変ってましょうね。」と言う。
「え、変っています。私の国じゃ、もう今頃からは、からっと晴れた空なんぞはめったに見られません。」
「へえ、じゃ陰鬱ですね。」私は、ちょっと眉に皺をよせる。
「陰鬱です。」
不思議!……話がここになると荻原の眠っているような眼が、光って来る。音の促した、半分は口の中でどもってしまう、聞き取りにくい調子だが、どことなく、自ずから感に通じるところがある。……私は妙な機会から、妙な人に逢ったもんだと思った。
そこへお八重が、菓子を持ってきたが、二人のあいだにそれを置くと、不思議そうな顔をして、ちょっと私達の顔を見て、このおしゃべりが、いつになく何にも言わずに出て行った。
「さ、いかがです。これでも此家の例のビスケットではないから大丈夫です。食べて下さい。そしてお国の話でも聞かして下さいな。……だが、何か僕に用がおありだったのですか。それなら、その方から……」
私はまだその用が気になっているので、こう言うと、荻原は少しあわてて、きまりの悪そうに顔を赤くした。そして何にも言わない。