Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
とおのへ
遠野へ
水野 葉舟
Leggi 遠野へ (とおのへ) di 水野 葉舟 (みずのようしゅう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 55.903 caratteri · 117 schermate
やがて、最前出た二人の若い者の一人はあわただしく飛び込んで来た。手に松蘿のついた小枝を持っていた。が、はいると、それを私達の二人のあいだにさし出して、
「これはなんでしょう?」と問うた。判事さんが何か言うかと思って、私はしばらく黙っていたが、判事さんは黙っているので、やがて、
「松蘿と言うものです。」と、心持ち首を傾けてそれを見入っていたが、「何ですねこれは。」
「やはり苔の種類でしょう。深山でなければないのだそうです。根がないでしょう? 霧の湿気で生きてるんだそうです。」
「へえ、私はS峠でひょっと上を見ると、妙なものがあるから、その樹にのぼって取って来たのですがね。」と、一心にその松蘿のついた小枝を見ている。私も心持ちからだを寄せて、それを見た。
判事さんも首を出してそれを見た。
そこへ、も一人の若い男が飛び込んで来た。それを見て、「分った」と、松蘿を持った男が言った。
「分ったか、なんだ?」
「さるおがせって言うだと。」
「さるおがせ。はじめて聞いた。それを書いておけ。」
「深山でなければないのだそうだ。」と言いながら、その男は外套のポッケットから手帳を出して、