Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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のわき

野分

夏目 漱石

Leggi 野分 (のわき) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.508 caratteri · 189 schermate

Aozora Bunko

三

三

檜の扉に銀のような瓦を載せた門を這入ると、御影の敷石に水を打って、斜めに十歩ばかり歩ませる。敷石の尽きた所に擦り硝子の開き戸が左右から寂然と鎖されて、秋の更くるに任すがごとく邸内は物静かである。

磨き上げた、柾の柱に象牙の臍をちょっと押すと、しばらくして奥の方から足音が近づいてくる。がちゃと鍵をひねる。玄関の扉は左右に開かれて、下は鏡のようなたたきとなる。右の方に周囲一尺余の朱泥まがいの鉢があって、鉢のなかには棕梠竹が二三本靡くべき風も受けずに、ひそやかに控えている。正面には高さ四尺の金屏に、三条の小鍛冶が、異形のものを相槌に、霊夢に叶う、御門の太刀を丁と打ち、丁と打っている。

取次に出たのは十八九のしとやかな下女である。白井道也と云う名刺を受取ったまま、あの若旦那様で? と聞く。道也先生は首を傾けてちょっと考えた。若旦那にも大旦那にも中野と云う人に逢うのは今が始めてである。ことによるとまるで逢えないで帰るかも計られん。若旦那か大旦那かは逢って始めてわかるのである。あるいは分らないで生涯それぎりになるかも知れない。今まで訪問に出懸けて、年寄か、小供か、跛か、眼っかちか、要領を得る前に門前から追い還された事は何遍もある。