Classici giapponesi con furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓 (ななこ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.271 caratteri · 144 schermate
お千代は枝折戸の外まできて、
「まあえい天気なこと」
お千代は気楽に田圃を眺めて、ただならぬおとよの顔には気がつかない。おとよは余儀なく襷をはずし手拭を採って二人一緒に座敷へ上がる。待ちかねていた父は、ひとりで元気よくにこにこしながら、
「おとよここへきてくれ、おとよ」
「ハア」
おとよは平生でも両親に叮嚀な人だ、ことに今日は話が話と思うものから一層改まって、畳二畳半ばかり隔てて父の前に座した。紫檀の盆に九谷の茶器根来の菓子器、念入りの客なことは聞かなくとも解る。母も座におって茶を入れ直している。おとよは少し俯向きになって膝の上の手を見詰めている。平生顔の色など変える人ではないけれど、今日はさすがに包みかねて、顔に血の気が失せほとんど白蝋のごとき色になった。
自分ひとりで勝手な考えばかりしてる父はおとよの顔色などに気はつかぬ、さすがに母は見咎めた。
「おとよ、お前どうかしたのかい、たいへん顔色が悪い」
「ええどうもしやしません」
「そうかい、そんならえいけど」
母は入れた茶を夫のと娘のと自分のと三つの茶碗についで配り、座についてその話を聞こうとしている。
「おとよ、ほかの事ではないがの、お前の縁談の事についてはずれの旦那が来てくれて今帰られたところだ。