Classici giapponesi con furigana
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きんろう
金狼
久生 十蘭
Leggi 金狼 (きんろう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.438 caratteri · 179 schermate
といって、頭をさげた。乾は、瞬間、西貝を瞶めたのち、
「なんです、急に……。どうしたんです、西貝さん……」
口調にもかかわらず、べつに驚いたようすもなかった。
「僕は絲満が殺された夜の一時ごろ、たしかに〈那覇〉まで出かけた……しかし、天地神明に誓って、殺したのはおれじゃない。これだけは信じてくれ」
乾は返事をしなかった。西貝は急きこんで、
「……あの晩、演舞場を出たのが十一時ちかく。二三軒はしごをかけて、新橋〈たこ田〉でまたのみなおしているうちに、その朝受取った、れいの〈遺産相続通知〉の手紙を思いだした。……酔っていたせいもあったろうが、いったん考えだすと、とめ途もないんだな。……馬鹿馬鹿しいが、そのときは、何万……という遺産が、小生のふところへころがりこむように思われてきたんだ……。昂奮したね。こんな気持で、とても明日までなんぞ待っていられない。……よし、これからすぐ乗込んでいって埓をあけてやろう……。あわてふためいて、枝川町までタキシを飛ばした。……むこうへ着いたときは、ちょうど一時十分だった。二階の雨戸があいて、ぼんやり電気の光がもれていた。……小生は勢いこんで戸口までいったが……、(悚えるような眼つきをして)戸口まで行ったが、どうしても把手に手をかける気がしない……、どういうわけか、凄くて、怖くて、