Classici giapponesi con furigana
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きんろう
金狼
久生 十蘭
Leggi 金狼 (きんろう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.438 caratteri · 179 schermate
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と、いうと、上衣の内ポケットから、金色の紋章のはいった警察手帳をとりだすと、はじめの頁をめくって見せた。〈久我千秋〉と、彼の名が書いてあった。
「安心してください。……私がこう言うんだから……」
そして、やさしく葵の手をとった。
どうしたというのか。……葵は急に蒼ざめて、低く首をたれてしまった。久我の掌のなかで、葵の小さな手が、ぴくぴくと動いた。早くそこから逃げだしたいという風に。
4
事実は小説よりも奇なり、ということは、たしかに有り得る。しかし、それが奇にすぎ、すこし通常の域をこえていると、もう一般からは信じられなくなってしまう。小説の場合と全く同じである。
絲満南風太郎の殺人事件も、〈謎の女〉とか、〈未知の財産遺贈者〉とかいう工合に、偶々過剰な架空的要素を含んでいたので、小説嫌いの、実直な世間からは、いささか小馬鹿にされているかたちだった。
しかし、一方には好奇的傾向の強烈な連中もいて、(これは、いつも案外に大勢なのだが……)その方面で、一週間以来、この事件はさまざまに論議されていた。
加害者が若い女で、しかも、初心者の手口だというところから、いうまでもなく、これは情痴の犯罪だ、などと、うがった批評をするものもいた。