Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きんろう

金狼

久生 十蘭

Leggi 金狼 (きんろう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 89.438 caratteri · 179 schermate

Aozora Bunko

「なにも言わなかったのね、本当ね?」

「下手なことをいうと係りあいになるからな。だれがそんなたわけたことをするものか。(チラリと鶴の顔を見あげて)だが、なんでそんなことをきく」

鶴は、急に涙ぐむような眼つきになって、

「なんといったって、ほんとは久我が殺ったんじゃないでしょう。だから、久我を密告て苦しめることだけはかんべんしてちょうだい……それを、お願いに来たのよ」

乾は竹箆の先に飯粒をためたまま、飽っ気にとられたような顔で鶴を見つめていた。

「正直のところあんたが、どうしても久我を送りこもうというのは、そうして葵を手にいれるつもりもあるんでしょう。それならば、ほかにいくらだって方法があるじゃないの。密告のだけはゆるしてやってちょうだい、お願いだから」

「どうしたというんだ、藪から棒に。鶴」

「わけ? わけはかんたんよ。……あたし、久我に惚れちゃったんだ(そう言って椅子のうしろに頭を凭らせると、)もうどうにも手に負えないんだ。この頃は一日に十ぺん位い泣きたくなる」

「驚いたなあ」

そういって、ふふんと笑った。チルは肩をぴくんとさせて、

「驚いたよ、あたしも。……よく考えて見たら、はじめて逢ったときから惚れてたんだ。