Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きんぎょりょうらん

金魚撩乱

岡本 かの子

Leggi 金魚撩乱 (きんぎょりょうらん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.999 caratteri · 67 schermate

Aozora Bunko

切られた金魚の首は電燈の光に明るく透けてルビーのように光る目を見開き、口を思い出したように時々開閉していた。

都会育ちで、刺戟に応じて智能が多方面に働き易く習性付けられた青年の復一が、専門の中でも専門の、しかも、根気と単調に堪えねばならない金魚の遺伝と生殖に関してだけを研究することは自分の才能を、小さい焦点へ絞り狭めるだけでも人一倍骨が折れた。頬も眼も窪ませた復一は、力も尽き果てたと思うとき、くったりして窓際へ行き、そこに並べてある硝子鉢の一つの覆いに手をかける。指先は冷血していて氷のようなのに、溜った興奮がびりびり指を縺して慄えている。やっと覆いを取ると、眼を開いたまま寝ていた小石の上の金魚中での名品キャリコは電燈の光に、眼を開いたまま眼を醒して、一ところに固っていた二ひきが悠揚と連れになったり、離れたりして遊弋し出す。身長身幅より三四倍もある尾鰭は黒いまだらの星のある薄絹の領布や裳を振り撒き拡げて、しばらくは身体も頭も見えない。やがてその中から小肥りの仏蘭西美人のような、天平の娘子のようにおっとりして雄大な、丸い銅と蛾眉を描いてやりたい眼と口とがぽっかりと現れて来る。