Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きんぎょりょうらん

金魚撩乱

岡本 かの子

Leggi 金魚撩乱 (きんぎょりょうらん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.999 caratteri · 67 schermate

Aozora Bunko

あの人まだ独身なんですもの」

「金魚の技師の復一君のことかね」

「そうです」

すると夫はやや興奮して軽蔑的に

「君もその人と結婚したらよかったんだろう」

すると真佐子は相手の的から外れて、例の漂渺とした顔になって云った。

「あたしは、とても、縹緻好みなんですわ。夫なんかには。そうでないと一緒にご飯も喰べられないんです」

「敵わんね。君には」怒ることも笑うことも出来なくなった夫は、「さあ、お湯にでも入ろうかね」と子供を抱いて中へ入って行った。

そのあとのロマネスクの茶亭に腰掛けて真佐子は何を考えているか、常人にはほとんど見当のつかない眼差しを燻らして、寂しい冬の日の当る麻布の台をいつまでも眺めていた。

「鯉と鰻の養殖がうまく行かないので、鼎造、この頃四苦八苦らしいよ。養魚場が金を喰い出したら大きいからね」

築けども築けども湧き水が垣の台を浮かした。県下の半鹹半淡の入江の洲岸に鼎造はうっかり場所を選定してしまったのであった。その上都会に近い静岡県下の養魚場が発達して、交通の便を利用して、鯉鰻を供給するので、鼎造の商会は産魚の販売にも苦戦を免れなかった。しかし、痛手の急性の現われは何といっても、この春財界を襲った未曾有の金融恐慌で、花どきの終り頃からモラトリアムが施行された。