Classici giapponesi con furigana
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
Leggi 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.760 caratteri · 24 schermate
「親――親分え、具足町の徳撰の――若えもんでごぜえます。ちょっとお開けなすって下せえまし。とんでもねえことが起りましただよ、え、もし、藤吉の親分え。」
女手のない気易さに、こんな時は藤吉自身が格子元の下駄脱ぎへ降りて来て、立付けの悪い戸をがたぴし開けるのがきまりになっていた。納戸の三畳に煎餅蒲団を被って、勘弁勘次は馬のようにぐっすり寝込んでいた。
「はい、はい、徳撰さんのどなたですい? はい、今開けやすよ、はい、はい。」
寝巻きの上へどてらを羽織ったまま、上り框と沓脱ぎへ片足ずつ載せた藤吉は、商売柄こうした場合悪い顔もできずに、手がかりのよくない千本格子を力任せに引き開けようとした。音もなくいつの間にか、背後に彦兵衛が立っていた。両手を懐中から顎のところへ覗かせて、彼は寝呆けたようににやにやしていたが、
「親分。」
と唸るように言った。
「何だ?」
「お寝間へお帰んなせえよ。徳撰の用はあっしが聞取りをやらかすとしよう。」
「まあ、いいやな。」
と、一尺ほどまた力を入れて右へ引いた戸の隙間から、頭へ雪の花弁を被って、黒い影が前倒るように飛び込んで来た。具足町の葉茶屋徳撰の荷方で一昨年の暮れに奥州から出て来た仙太郎という二十二、三の若者だった。