Classici giapponesi con furigana
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すずきもんど
鈴木主水
久生 十蘭
Leggi 鈴木主水 (すずきもんど) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.827 caratteri · 26 schermate
舞ってみせろ」
そうして、下座にひかえた押原右内にいいつけた。
「こいつらを括り合せて連舞を舞わせろ。原富は三味を弾け、庄五郎は唄え」
はっ、といって押原右内が立ちあがった。
主水は勘当になり、湯島のお長屋を出て青山権田原の借家に移った。竹の垣根に野菊が倒れかかり、野分のあとのもの淋しい風情をみせている。代々木の森が明るいぬけ色になり、朝々、霜が降りるようになった。
格別、落ちこんだような気もしない。愁いもない。身体にどこといって違和はないが、あの夜以来、気持にしまりがなくなった。寝るときのほか、ついぞ袴をはなしたことはなかったが、この頃は着流しで、帯も巻帯のままである。妻のお安は縁端で縫物をしながら、太郎とお徳を遊ばせている。勘当になったいきさつは、もとより知りぬいているはずだが、たわけな亭主だと思い捨てたかして、そのことには一言もふれない。生来、気性の勝った女なのである。
主水は縁の陽だまりで膝を抱えて空を見ていたが、いかにも所在がないので、
「おい」
とお安を呼んでみた。お安は膝の上から縫物を払って、こちらへ向きかえた。落着きはらった自若とした眼つきである。